リモートでのバンド演奏が可能に! オンラインセッションサービス「SYNCROOM」とは?

アンサンブル演奏は、これまでメンバー全員が同じ時間に同じ場所に揃わなくてはならない…という大前提がありました。そんな常識を覆す可能性を秘めた新サービスが、ヤマハから登場します。
そのサービスというのが「SYNCROOM(シンクルーム)」。ネット環境とパソコン、オーディオ・インターフェイス、そして楽器があれば、自宅でもスタジオでもバンド演奏ができる、という画期的なサービスです。ちょうど新型コロナウイルスの感染症対策としてもピッタリなSYNCROOMですが、どういったサービスで、どうやって使えばいいのか…など疑問に思っている方も多いのではないでしょうか? サービスを運営するSYNCROOM担当のUX戦略部 CE企画グループリーダーの野口 真生氏と、同グループ北原 英里香氏にお話を伺いました。


NETDUETTOがリニューアル。SYNCROOMのここがすごい!

「インターネット経由でバンド演奏」というキーワードは、これまで耳にしたことのある方も多いと思います。SYNCROOMはまったく新しいサービスという訳ではなく、2011年から現在も稼働している「NETDUETTO β2(ネットデュエット)」が正式サービスとしてリニューアルするというもの。

とはいえ、今やインターネットで音声を送るサービスはたくさんあります。SkypeやDiscord、最近ではZOOMを使われている方も多いでしょう。しかし、通話を目的としたこういったサービスと「バンド演奏」を前提にしたSYNCROOMには決定的な違いがあります。

それが「音質」と「遅れ」です。まずわかりやすいところで音質から。何かしらの通話サービスを使った経験のある方であればご存じの通り、お世辞にも音が良いとは言えないのが実情です。話し声なら不自由はありませんが、音楽として聴けるか、というと疑問があるでしょう。

そして、楽器演奏において最大の課題が音の遅れです。通話では気にならなくても、楽器演奏ではほんの少しずれるだけで、まともに演奏することができません。

SYNCROOMでは、最大で48kHz/16bit(非圧縮)で、遅れもベストな環境では20msec(0.02秒)程度、という他のサービスとは一線を画す仕様になっています。しかも、DAWソフトのユーザーに嬉しいのが、VSTプラグインとしても提供されるという点。つまり、マスター・トラックにSYNCROOMのプラグインをインサートすれば、DAWソフトの出力をそのまま他のメンバーに送ることができるのです。

概略がわかったところで、もう少し詳しい部分や技術的な話に入っていきましょう。ヤマハの担当者の方に伺った内容をQ&A形式にまとめました。


新機能が満載のSYNCROOM。今後、有料化の可能性は?

SYNCROOMのユーザー・インターフェイス。基本デザインはNETDUETTOを受け継ぎつつも、いくつかの機能が追加される

Q1.NETDUETTOとSYNCROOMの違いはありますか?
A:SYNCROOMは、これまでベータ版サービスとして提供してきたNETDUETTOを正式サービスとしてリニューアルしたものです。インターネットを介して、遠隔地との楽器セッションを可能とするデスクトップ・アプリケーションという主な機能はNETDUETTOと変わりませんが、いくつかの変更があります。具体的には、新たに「メトロノーム機能」と「録音機能」、自分の音に使用可能な「リバーブ」が追加されます。

Q2:メトロノーム機能とは、どういったものなのでしょうか?
A:通常のメトロノーム同様、演奏のガイドとしてお使いいただけるものです。しかし、インターネットを介するため、通信環境によって音の遅れが生じてしまいます。そこで、自分以外のメンバーにはネットワークで遅れてしまった分を計算し、自動的にメトロノームの発音を早く送る仕組みになっています。こうすることで、演奏への影響を最小限に抑えることができます。

Q3:レコーダー機能は、セッションの音がミックスして録音されるのでしょうか?
A:はい。ルームの演奏がミックスされた状態でオーディオ録音される仕組みです。ただし、著作権の関係でルーム内の誰かがオーディオ・プレイヤー機能を使っている場合は録音機能は使うことができないようになっています。

Q4:ソフトの使い方やその他の機能は変わらず使えるのでしょうか?
A:はい。これまでNETDUETTOをお使いいただいていた方も違和感なくご利用いただけるようになっています。サービスとして、大きな変化が、ログインが必要になるという点です。これまでのNETDUETTOはユーザー登録なしに匿名で使用することができましたが、SYNCROOMとして正式サービス化するにあたってアカウント登録が必要になります。

Q5:有料になるということでしょうか?
A:いいえ。より良いサービスを提供し、同時に責任を持ってサービスを運営するという観点からこういった形にさせていただくことになりましたが、完全無料で使うことができます。また、公開されるのはニックネームのみで個人情報が外部に見えてしまうということはありませんので、ご安心ください。ルームは非公開機能もついておりますので、これまでとの違いはログインが必要になった、というだけとも言えます。

Q6:今後有料化する…という可能性はありますか?
A:現段階ではまったく考えていません。NETDUETTOは研究開発テーマとして無償で提供していましたが、昨今ではバンド演奏や音楽活動自体のあり方も変化しています。「同じ時間に同じ場所にいなくてはできない」というものが大きな障壁になっているのではないかと…。現代人の感覚からすると、もっと手軽にリモートで…というサービスが求められているのではないでしょうか。そんな中で、その障壁を越えられるサービスを提供することで、楽器を手に取る方が1人でも増えたら…という想いでSYNCROOMはスタートしています。


必要な機材を揃えれば、誰でも気軽にセッションできる!

最短20msecというレイテンシーで演奏が行えます

Q7:同時に何人までセッションできますか?
A:1ルームあたり最大5拠点まで接続することができます。また、「ルーム連結機能」を使うと、2部屋まで同時接続…つまり10人までの接続が可能です。ただし、ルーム連結機能の使用時はルーム間での遅延が発生してしまうので、ご注意ください。

Q8:実際にアンサンブルを行う際、どのくらいの音の遅れが生じるのでしょうか?
A:お使いの回線や環境次第…ということにはなってしまいますが、ベストな環境では20msec程度の遅延で演奏が可能です。

Q9:SYNCROOMを使う上で必要な機材や設備について教えてください。
A:「高速な光回線」と「有線LAN」。そして、「ASIOドライバーに対応したオーディオ・インターフェイス」をご用意ください。光回線の中でもIPv6 IPoE(※)が理想的な環境となります。
※インターネットで使用されている主要なプロトコルである「IPv4」の次の世代のプロトコル。「IPv6 IPoE」とは、IPv6のネットワークに接続するための方式を指します。現在では、多くのインターネットサービスプロバイダ(ISP)がIPv6 IPoEに対応しています。

Q10:ネットの速度が遅くなると、どうなるのでしょうか?
A:環境によって状況は大きく変わってしまいますが、最悪のケースではそもそもルームに入りにくい…とった可能性もあります。

少し専門的な話になりますが、高音質で音声をやりとりする場合でも、実はそこまで速度は必要ありません。最も通信量が多いユースケースでも15Mbps程度…つまり、一般的な光回線であれば、かなり余裕があると言えます。ただし、ネットワークは常にこの速さで安定的に使えるわけではありません。一般的な回線のデータ通信速度が速いことと、遅延が少ないことは必ずしも一致しないのが、難しいところです。逆に言えば、ネットワークが不安定な場合はいくら音質を下げたからといって状況が改善するということは期待できないということでもあります。

昨年末にソニーネットワークコミュニケーションズ社様との共同で、東京と浜松で回線をつないで小学生向けのバンド体験会を行う…というイベントを行ったのですが、そのときにはNUEO光の回線を使用し、安定してセッションを行うことができました。

編集部注:イベントの様子は下記の動画でご覧いただけますので、ぜひチェックしてみてください!

Q11:ルームの中に通信環境が悪いメンバーがいた場合はどうなるのでしょうか?
A:その方だけ音の遅れが生じたり、演奏しづらくなってしまいます。他の(通信環境の良い)メンバーに影響はありません。

今回、待望の正式版(PC版)に加えて、ノーサポートのβ版ではあるがAndroid版も公開された。高速無線回線での利用を想定したものでスマートフォンを使ってリモート合奏が楽しめるそうだ。ただしあくまで研究開発版ということで5GまたWi-Fi環境など、多種多様な端末や回線での確認はまだまだこれからで、安定して合奏が楽しめるかは環境や端末次第とのことだ。興味がある方はGoogle Play Storeから無料でダウンロードできるのでぜひトライしてみてほしい。(4G/LTEは非推奨)


以上、簡単ではありますが、SYNCROOMの概要を紹介してきました。自粛要請が解除されても、SYNCROOMの登場によって、今後はリモートでバンドを楽しむ、という新たな文化が生まれそうですね! オーディオ・インターフェイスと光回線だけで気軽に試すことができますので、ぜひご自身で体験されてみてはいかがでしょうか?

SYNCROOMのサイトでは詳しい使い方の紹介やFAQが充実していますので、併せてご覧ください。


■お問い合わせ先:ヤマハ株式会社
SYNCROOMサービス・オフィシャル


 

 

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